前回のお話はこちら
夫と恋人時代、私たちはよく会った。私の職場が夫の住むアパートと近かったこともあり(徒歩15分)、お昼休みに一緒にランチをしたり、退勤後に夫の家にいったり、週に4~5日は逢瀬を重ねていたと思う。
同じ重ねるでも、サンドウィッチなら具たくさんでおいしい。だが、重ねすぎる「逢瀬」はいかがなものか。少しtoo muchすぎるデート頻度に、交際も半年が経とうという頃、私は胃もたれを起こしていた。
そこである逢瀬の日。私は意を決して夫に提案してみることにした。
「あのさ、今は週に5日も会っているけど、お互い大変じゃない? 自分の時間も欲しいときもあるだろうし(私は欲しい)、会う頻度を減らしてみない?」
「自分の時間いらないよ。薫といて楽しいし。」
「でも……」
自分の時間、もっと欲しがってくれよ。(心の声)
「むしろ週に5日は少ないくらいだよ。6日にしない?」
……。
これ以上、逢瀬を重ねてたまるかと提案したはずが、逆にもっと重ねないか、と逆提案を受けるはめになってしまった。
これ以上はアカン。週6日なんて、ほぼ1週間ではないか。週に5日でも大変なのに、6日間も風呂上がりに裸でうろうろできず、夫の前でおならを我慢し、小(大も)をするときもなるべく音をたてないように全神経をアソコに集中しないといけないのか。
あぁ神よ。私の(シモの)フリーダムはいずこに。
目の前には、私にもっと会いたいと、目をキラキラさせる夫。その姿が昔、テレビCMで見たチワワの犬に重なる……。この人はほんと、「重ねる」のが好きだなぁ。
私はシモフリーダムをあきらめることにした。それよりも重ね好きなこの人と、歳を重ね、時間を重ね、愛を育んでいこうと思ったのであった。
あれから数年後……。私たちは夫婦となり、現在進行形で歳と時間を重ねている。そして、風呂上がりに全裸で逃げる子どもを、全裸の私が追いかけるのが日常風景になった。
我慢すると体に悪いと思い知ったので、夫の前でもおならするようになった。小も大もありのまま、便器にレット・イット・ゴーさせるようになった。
夫と重ねゆく日々の中で、かつて諦めたフリーダムを手に入れたのだ。
***
次回もぜひお楽しみに。
「読者」募集中♪
▼初めましての方へ
▼なれそめエピソードはコチラ
▼国際恋愛・結婚でよく聞かれる質問に答えてみました
▼これまで書いたお仕事記事はこちら