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「餅は餅屋」ということわざがある。
餅屋が焼いた餅が一番おいしい。つまり、仕事は専門家に任せるのが一番だという意味だ。
来日して2年目の夏。夫が謎の皮膚病にかかった。赤くぷつぷつとした楕円形の発疹が、胸やお腹らへんに数か所できたのだ。形から、虫刺されではなそうだったが、とても痒いらしい。
しばらく様子を見ていたが、なかなか治らない。そこで夫を皮膚科に連れて行くことにした。私が学生時代、ニキビ治療でお世話になっていたかかりつけ医だ。
医者は、夫の体にできた赤い斑点をやさしく削ると、顕微鏡をのぞき込み「カビですね」、と一言。
えっ、カビ⁉
カビって……あの? 気が付くとお風呂の壁や床に「こにゃにゃちわ~」しているアレのこと⁉
「そのカビではなく、白癬菌(はくせんきん)というカビの一種ですね」と、先生。
人間もカビるなんて……。予想外の診断結果に、衝撃を受ける私と、‟What's kabi?(カビって何?)”とぽかんとする夫。
そして先生は、クリニックの推しメンである「コラージュフルフル」というボディソープを私たちに勧めた。なぜ推しメンと分かったかというと、受付横の商品棚のセンターに「フライングゲット~♪」と言わんばかりに陳列されていたからだ。間違いなくクリニックの前田敦子である。
「カビの増殖を抑える抗真菌成分と殺菌作用が入っています。これで洗って、毎日体を清潔に保ってください。」
ということで、私たちは敦子(先生イチオシのソープ)と、処方された塗り薬を持って家に帰ったのである。
数日後……。
夫のカビが消えないではないか。いや、正確にはシャンプーを使用すれば薄くなるのだが、消えたと思って使用をやめるとすぐ再発してしまうのだ。
これじゃあまるで、かつてAKB48のセンターを競い合った大島優子と前田敦子のようではないか。
夫の体というリング上で繰り広げられる、仁義なきセンター争い。
がんばれ敦子! フレーフレー敦子!
優子(カビ)を倒して夫の肌の治安を取り戻してくれ!
***
季節は夏から秋へ。相変わらず敦子と優子の決着がつかないでいたある日。
「今年のサンクスギビングデーはアメリカで過ごそう」という夫の提案により、急遽有休を全部使ってアメリカへ行くことになった。私にとっては、初めてのサンクスギビングだ。
当日は、マリ叔母さんの家にほぼ一族全員が集合した。当たり前だが、誰一人日本語は話せないため、全編英語で過ごさないといけない。つ、つらい……。‟YES”を「hai」とか「un」とかいっちゃったし。まるで夏休みの間だけホストファミリーにお世話になる学生のような気持ちを味わった。
スタッフィングと呼ばれる前菜にポテトサラダ、映画でしか見たことのないクランベリーソースに、アップルパイやピーカンパイはどれもおいしく感動した。そして巨大オーブンで焼かれたまるまる1匹のターキーが出てきたときは、さすがに笑ってしまった。大きいというだけで、笑いのとれる国。それがアメリカなのだ。
サンクスギビングデー、翌日のブラックフライデーを満喫し、いよいよ本題へ。そう、敦子と優子の頂上決戦を終わらせないといけない。
日本の医者ではいまいち治療効果をえられなかったので、アメリカの医者に診てもらいたい。それこそ、今回夫が帰国した1番の理由だったのだ。
さぁ、アメリカ人医師による診断結果はいかに。
「カビですね」
カ、カビだったーーーーーーー!
どうやら日本人医師の診断は間違っていなかったようだ。と、なると。東洋人と白人でボディタイプが違うので、ソープや薬の効果がイマイチだったことが考えられる。
アメリカ人医師がおすすめしてきたのは、「Selsun Blue」という市販品のシャンプーだった。これを少量患部に塗布し、1分後に洗い流すを発疹が消えるまで1日1回行ってくださいとのこと。
ふむふむ。どうやら「Selsun Blue」に配合されているセレンには、真菌の増殖を抑え、かゆみや炎症を抑える効果があるようだ。現地ではフケ予防のシャンプーとしても有名らしい。
ということでアメリカ人医師おすすめの「Selsun Blue」を使ってみたところ、効果はテキメン……! 夫の皮膚病はみるみる治ったのである。
餅は餅屋と言うけれど。
アメリカ人はアメリカ人医師に診てもらう方がいいのかなぁ、と思った出来事なのである。
※「Selsun Blue」のPR記事ではありません(笑)。
***
次回もぜひお楽しみに。
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