ぱんじーすみれのおもってたんとちがう!

国際ファミリーがくりひろげる、「おもってたんとちがう!」日常エンターテイメント。

蓋閉めて地固まる ~わが家の便座カバー紛争~

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ふだんはケンカしてもすぐ仲直りする私たちだが、同居し始めの頃は「トイレの蓋」にずいぶん振り回された。

というのも夫が「小」の後、便座をあげたままにするからだ。おかげで私は毎回、用を足す前に便座を下げなければならなかった。最初のうちは軽く注意するだけだった。私が下げればいいだけだし、夫を大好きだし、ケンカしたくないし、夫も夫で、長年の習慣を変えるのは大変だろう、と思ったからだ。

だが、何度いっても、何か月たっても下がらない便座に、とうとう私もイライラしてきた。そこで夫に、改めて便座を下げてほしい旨を伝えると、なんと逆ギレされてしまった。

俺は逆に毎回(私の下げた)便座をあげるのが煩わしい、と。

なるほど。そりゃそうだ。私はさげないと使えなくて、夫はあげないと使えなくて。フェアに考えるなら、私も使ったあと、便座をあげるべきだ。


……え? でもそうすると自分が使った後にまた自分がトイレに入ったら便座は上がってるわけで、私がそれを下げなきゃならないとなると、フェアじゃなくない? 私は頻尿だし、完全にフェアじゃない。しかも大のとき、夫も便座をさげて利用するわけだし、総合的に考えて便座は下げておいたほうが合理的では……? 話が「卵が先か、鶏が先か」みたいな、哲学的な問題になってきてしまい、混乱してきた。私は便座を下げてほしいだけなのに。

そんなある日。仕事で、脳科学者の黒川伊保子先生に取材をすることになった。黒川先生といえば、ベストセラーとなった『妻のトリセツ』の著書だ。取材のあと、恥を忍んでプライベート(トイレ)な問題を切り出す。すると先生は、男性にはミッションを与えるつもりでお願いをすると効果的だと教えてくれたのだ。

先生によると、男性は長らく狩りをしてきた性なので、「獲物を獲得する」「敵を倒す」のような、目的が単純明快で、成果が誰の目にもはっきりわかる事象に対する快感が強いそうな。つまり、これはあなたの役目ね、と「定番の責務」を与えるといいらしい。またそれが「命やケガにかかわる」ようなことだと、なお効果があるらしい。

ほおぉ。男はみんなミッションインポッシブルのトム・クルーズなのか。またはダイ・ハードブルース・ウィルス、または007のジェームズ・ボンド。自分だけのミッションに燃えるのね。

家に帰った私は、さっそくMYトムクルーズにミッションを与えることに。

「あのさ、便座のことなんだけど……。夜とか、寝ぼけた状態でトイレにいったときに、便座があがったままだと危ないんだ。この前なんてね、そのまま座って便器に落ちて、腰を痛くしたんだよ。だから、使ったあとは便座を下げてほしい。私がケガしないように。」

"Oh no! OK. I got it. I will."(分かった! 閉めるよ)
 
そしてこの日から、MYトム・クルーズが、便座を下げ忘れるようなことはなくなったのだ。

ミッションコンプリート。

 

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