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大のSATC(セックスアンドザシティ)のファンである私。
これまでなん百回、なん万回と見ているのだが、子どもを産んでから見返してみると新たな発見があっておもしろい。たとえば、ミランダが赤ちゃんをスティーブに預けてキャリーたちと旅行へいこうとするシーン(※シーズン5第3話)。
ふだんはうっとうしがるミランダをよそに、あれこれ赤ちゃんのお世話をしたがるスティーブ。だが、いざ1人で面倒をみるとなると怖気づき「やっぱり無理だ。殺しちゃいそうで……」と出発直前のミランダを困らせてしまう。
しかしなんとしても旅行へ行きたいミランダは言う。
「その不安は私にもある。でも今週は決めたでしょ。平日は私が殺さないようにして、土日はあなたの番」
思わず「それなっ!」と大共感した、みごとな返しである。
わたしは、子どもを産む前まで「子育て」=ごはんをあげたり、おむつをかえたり、お風呂にいれることだと思っていた。そうすれば勝手に育って大人になると思っていた。
だが、実際に子育てしてみてわかったことがある。子育てとはミランダが言ったように、子どもが死なないように親が見守ることなのだ。とくに子どもが小さいうちは。
たとえば赤ちゃんが窒息死しないように床にレゴやアイロンビーズが落ちてないか這いつくばって探したり、あらゆる角にガードをつけたり、高いところへ登れないように壁をつくったり。
親はつねに周りに気をくばり、赤ちゃんが死なないよう、リスクとなるものはすべて排除する必要がある。しかしこれがなかなか難しい。
というのも「何が危険なのか」を察知する能力は、じっさいに子どもを産んで子育てしてみないと体得できないからだ。
たとえば生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ胃が未熟なためしょっちゅう吐きもどすのをご存じだろうか。吐くだけならまだいい。だが、自分で起き上がることのできない赤ちゃんは、吐いたミルクでかんたんに窒息死できてしまうのである。
そのため上半身がすこし起きた状態になるよう、頭側のマットレスの下に、バスタオルを敷いて傾斜をつける……といった、「死なない工夫」が必要になるのだが、親になってみないことには、こうした危険になかなかきづけない。
免疫力のひくい赤ちゃんがウィルスにやられないよう、哺乳瓶だって毎回消毒が欠かせないこともそうだ。子どもがいないとなかなか得られない知識であろう。
こうした「死なないため」に配慮し、工夫をする、見守るという行為は、想像以上に疲弊する。だのにそのしんどさを第三者にいくら伝えても理解してもらえないので、親たちはいつもモヤモヤしているのである。
「赤ちゃんは弱いのだから親が見守るのは当たり前」という共通認識はあるのに。
いや、あるからこそ、その思い込みが邪魔をして“知った気になってる人”は多くいる。もう知ってるから……というスタンスの人間は、「どう大変なのか」「なんでしんどいのか」を具体的に知ろうとはしない。
ぜっさん子育て中の人間とそうでない人間の間に起きる「話しているのに伝わらない」というふしぎな現象は、こうした背景があるのかもしれない。
まさに養老孟子さんの言う「バカの壁」である。夫と妻。子をもつ親とそうでない人間。それらのあいだにはきっとバカの壁があり、子育ての現場をタフにしている。
てまえ味噌になるが、私が夫と結婚してよかったと思えるのは、夫が壁をぶち壊してこちら側に来てくれたからだ。ファミリーファーストな夫は、1秒でも家族のそばにいるために上司にもファッキューと言ってしまう、こてこてのアメリカ人だ。
長女が産まれてから今まで、殺さないよう、ともに神経を擦り減らしながら危険物を排除してきた私たちは、たとえるなら最強の爆弾処理班。青い線を切るか赤い線を切るか。そんな場面をいくども一緒に乗り越えてきたからこそ、「なんでわかってくれないの!」と夫にイラついたり孤独になることは少ない(無いとは言えないけど 笑)。
子育ては「夫婦二人」でする。シンプルであるがこれがとーーーっても、とっても大事だと私が思うのはこうした理由からだ。
夫のように、残業を命じる上司に中指をたてろとは言わない。言わないが世の子持ちメンズにこれだけは言いたい。
定時になったらさっさとゴーホームして育児にジョインすべし。
ソファーの上でパズドラってる毎日じゃ、パートナ―にいつかトンズラされるぞ、と。
夫婦に立ちはだかるバカの壁は、子どもを見守る。その苦楽をともにして、ぶち壊せるのだから。
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次回もぜひお楽しみに。
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